もしかして高次脳機能障害ではありませんか。

高次脳機能障害として、適切な後遺障害認定を受け、正当な損害賠償を獲得するためには、交通事故に関する専門的な法律知識、医学知識、そして経験が必要です。
以下では、高次脳機能障害の症状、後遺障害の判定基準などについて、交通事故に詳しい、弁護士法人あい湖法律事務所の弁護士が解説いたします。

思い当たる症状はありませんか?

交通事故で、頭部に強い衝撃を受け、被害者の記憶力、注意力等に障害が生じている場合、高次脳機能障害の可能性があります。交通事故前と比べて、被害者ご本人に次のような症状が現れていませんか?

記憶力の障害

  • 物の置き場所を忘れる
  • 新しいできごとを覚えられない
  • 同じことを繰り返し質問する
  • 作業中に何をしていたか忘れてしまう
  • 約束をしていないのに約束をやぶったと言われる

注意力の障害

  • ぼんやりしていてミスが多い
  • ふたつのことを同時に行うと混乱する
  • 作業を長く続けられない
  • 作業を終えるのに時間がかかる

目的を達成する能力(遂行機能)の障害

  • 自分で計画を立ててものごとを実行することができない
  • 人に指示してもらわないと何もできない
  • 約束の時間に間に合わない
  • 結果をみて行動を修正することが難しい

コミュニケーション能力(社会的行動)の障害

  • 興奮する、暴力を振るう
  • 思い通りにならないと、大声を出す
  • 自己中心的になる

(以上、「高次脳機能障害情報・支援センター等参照)

思い当たる症状がある場合、すぐに専門医の受診と早期のMRI撮影を

思い当たる症状があれば、高次脳機能障害の疑いがありますので、すぐに専門医で受診されることをお勧めいたします。入院中の方は、医療スタッフに対して早期の高精度なMRI検査機器によるMRI撮影を求めましょう。

高次脳機能障害として正当な損害賠償を受けることの難しさ

高次脳機能障害は、交通事故被害において最も重い障害の一つです。
高次脳機能障害になると、脳の機能が低下し、今後の日常生活に大きな影響が生じ、被害者ご本人はもちろん、ご家族にも大きな精神的負担がかかります。正当な損害賠償を獲得することが重要であることはいうまでもありません。

適切な後遺障害判定を受け、正当な損害賠償を獲得するためには、高次脳機能障害は「見落とされやすい」障害ですので、交通事故直後から適切な準備をする必要があります。

なぜ、高次脳機能障害は見落とされやすいのでしょうか。

それは、受傷後や発症後、身体的な後遺症が残らない場合が多く、被害者の方は外見上正常にみえるため周囲が異常に気づきにくいこと、また、被害者ご本人が症状を自覚することが難しいからです。
事故後早期の対応と初期段階の医療機関における的確な診断が重要ですから、見落とされてしまい発見が遅れると適切な時期に適切な検査を受けることができず、正当な損害賠償を獲得することが困難となります。

高次脳機能障害とは

高次脳機能とは(脳機能の種類)。

脳の機能は、一次機能と高次脳機能に分類されます。

一次機能

知覚機能
目や耳(感覚器官)で感じた光や音等の情報を脳に伝える機能
運動機能
腕や足などを動かす機能

などの機能をいいます。

高次脳機能

一次機能によって得た情報を組み合わせて発揮する高度な機能のことをいいます。その機能は、記憶力、注意力、目的遂行能力、社会的行動能力など多岐にわたります。これらの機能に障害が生じている場合を、高次脳機能障害といいます。高次脳機能障害の典型的な症状としては、以下のようなものがあります。

記憶障害
物事を覚えていられなくなる症状です。たとえば、日付や曜日、自分のいる場所などを認識できなくなります。
注意傷害
集中力がなくなって、1つのことに長時間取り組むことができなくなったり、人の話を聞くことができなくなったりします。
遂行機能障害
ものごとをやり遂げることができなくなる症状です。
たとえば、自分で計画を立てられなくなったり、言われたことしかできなくなったり、効率的に仕事ができなかったり、優先順位を付けて段取りよく物事をこなせなくなったりします。
社会的行動障害
社会内で、適切な行動をとることが難しくなります。やたらと感情的になって暴れたり、子どもっぽくなったり、場違いな発言・行動をしたりします。
交通事故後、「性格が変わった」と思われることもあります。
失語症、失行症、失認症
言葉を発せられなくなったり、道具を使えなくなったりぎこちなくなったり、物事を認識できなくなったりします。
他に、麻痺や運動障害などが起こるケースもあります。

交通事故による高次脳機能障害

高次脳機能障害には、医学上、脳組織そのものに損傷が発生している「器質的損傷」に基づくものと、脳組織そのものには損傷が発生していない「非器質的」なものがあります。
交通事故による高次脳機能障害は、「器質的損傷」に基づく障害とされています。

脳の器質的損傷の具体例

局所性損傷
脳挫傷
全般性(びまん性)損傷
びまん性軸索損傷

器質的損傷に基づく高次脳機能障害になった場合、障害の程度・内容に応じて、自賠責保険の1級、2級、3級、5級、7級、9級の後遺障害等級が認められる可能性があります。
また、非器質性のものについては、「非器質性精神障害」として取り扱われます。この場合には、9級、12級、14級の後遺障害等級が認められる可能性があります。

後遺障害の等級

高次脳機能障害の自賠責保険の後遺障害等級

「器質性」の高次脳機能障害の場合、以下のような後遺障害の等級が判定される可能性があります。

等級 判定基準 自賠責保険による補足説明
別表第1
1級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
別表第1
2級1号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することが出来ず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことが出来ても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの。
別表第2
3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶や注意力、新しい事を学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
別表第2
5級2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの 単純なくり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
別表第2
7級4行
神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
別表第2
9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

高次脳機能障害の自賠責保険上の判定基準

高次脳機能障害で後遺障害判定を受けるには、傷病の存在を証明する必要があります。自賠責保険の判定上、以下の5つの基準で、高次脳機能障害にあたるか否かを判定しているといわれています。

  1. 初診医のカルテに頭部外傷(頭部に強い力が加わったこと)に関する診断があること

    脳は頑丈な頭蓋骨で守られていますから、交通事故により脳組織が損傷したといえる場合、交通事故によって、頭部に強い力が加わっているはずです。この点を証明するために、頭部の外傷所見(挫創の有無や、脳の膨張の有無)と頭部を強く打ったことで生じる症状(頭痛や嘔吐)について、初診医の診療録に詳しく記載されていることが求められます。

  2. 診断書に、高次脳機能障害、脳挫傷、びまん性軸索損傷等の傷病名の記載があること

  3. 意識障害の程度

    高次脳機能障害の判定に際しては、交通事故後の被害者の方の意識障害の程度が関係します。自賠責保険で高次脳機能障害を判定するときの判断基準は以下のとおりです。

    • 昏睡以上の意識障害が、受傷後6時間以上継続すること、または
    • 軽度の意識障害が1週間続くこと

    自賠責保険では、Japan Coma Scale(JCS ジャパンコーマスケール)やGlasgow Coma Scale(GSC グラスゴーコーマスケール)という意識レベルの評価指標における評価をもとに意識障害の程度を審査しています。①及び②は、JCSとGCSの評価点が以下の場合に満たされるといわれています。

    • JCS3桁またはGSC8点以下の状態が6時間以上持続している場合
    • JCS1桁~2桁またはGCS13~14点が1週間以上持続している場合

    ただし、上記の基準に達していない場合でも、「一定の意識障害」があるとして、高次脳機能障害が認められる例もあります。
    また、後遺障害と認められた場合でも、初期の意識障害の程度が軽ければ軽いほど後遺障害の等級は軽くなる傾向にあります。

  4. 器質的損傷を裏付ける画像所見があること

    MRI及びCTにより脳の異常が撮影されていることが重要です。脳挫傷の場合は、出血を伴いますのでCTで判別することができる場合が多いです。しかし、びまん性軸索損傷の場合は、出血を伴わない場合があり、MRI検査を受けることが重要です。

  5. 具体的な「高次脳機能障害」の症状があること

    高次脳機能障害とは、総称ですので具体的な症状ではありません。具体的な症状によって、生活が事故前と比較してどのように制約されているのか具体的に記載されていることが求められます。主要4症状は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害です。

    これらの症状の有無については、神経心理学検査によって証明することになりますので、神経心理学検査の結果、上記の障害があることが検査上現れていることが重要です。よく使用されている神経心理学検査としては、以下の検査があります。

    • WMS-R(ウェクスラー記憶検査)
    • WAIS-Ⅲ(ウェクスラー知能検査)
    • HDS-R(長谷川式簡易知能評価スケール)
    • MMSE(ミニメンタルステートメント検査)

    これらの検査は、医師ではなく、臨床心理士・言語聴覚士・作業療法士等が行います。
    上記検査上異常が現れていない場合でも、親族の方が作成する「日常生活状況報告書」に障害内容を具体的に記載すれば認められる場合もあります。

高次脳機能障害で後遺障害判定を受けるポイント

高次脳機能障害で後遺障害判定を受けるためのポイントは以下のとおりです。

専門医を受診すること

高次脳機能障害は、複雑な病気であり、医師だけではなく複数の医療専門家による検査等が必要です。また、見落とされやすい障害ですから、少しでも疑いがある場合には、高次脳機能障害に精通した専門の病院で受診しましょう。

事故直後に、定期的に、精度の高いMRI検査機器による撮影をすること

交通事故の被害に遭われた場合、事故直後にMRIの撮影をしましょう。時間が経過すればするほど異常を発見することが難しくなります。
また、びまん性軸索損傷の場合には、事故直後には異常が写らないケースもあります。高次脳機能障害が疑われる場合には、医師には嫌がられるかもしれませんが、事故当初は数日から1週間おき程度の間隔で、定期的なMRIによる撮影を続けましょう。
もっとも、MRI検査機器には、精度の低いものと高いものがあります。特に初期の出血などについては、精度の低いものには異常が写らなくても、精度の高いものでは異常が写ることがあります。MRI検査機器の精度の単位は「テスラ」と言いますが、一般に0.5テスラから3.0テスラのものまであります。そこで、特に事故直後の急性期には、3.0などの高精度の検査機器を使って検査を受けることが重要です。そのためには、事故当初から、適切な病院を選ぶことも必要となってきます。最先端の検査機器を使っている病院を探して通院しましょう。

相当な期間リハビリを継続すること

定期的なリハビリを継続しましょう。そうすることで、治療を継続して受けることはもとより、高次脳機能障害であることの客観的な資料が残ります。また、後遺障害とは将来的に改善しない障害であるところ、相当なリハビリを受けた上でなければ、後日、リハビリを受ければ障害が改善する可能性がある等といったことで問題になる場合もあります。

神経心理学検査を受けましょう

高次脳機能には様々な機能があり、検査が必要となる機能の種類に応じて、神経心理学検査の種類も決まります。適切な検査を受けて証拠化しておくためにも、高次脳機能障害に精通した専門病院で神経心理学検査を受けましょう。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼すると3つのメリットがあります。

  • 後遺障害判定を受けるために、場面に応じた適切な検査方法等をアドバイスいたします。
  • 自賠責保険に対する後遺障害判定請求を弁護士が行いますので、被害者に有利な資料を提出できますので、高い等級判定を受けやすくなります。
  • 弁護士が示談交渉をするので、「弁護士基準」が適用されます。ご自身が交渉されるよりも賠償金の金額がアップします。

以上のように、高次脳機能障害となったときに弁護士に対応を依頼すると、様々なメリットがあります。

高次脳機能障害が疑われるなら、弁護士法人あい湖法律事務所にお任せください

高次脳機能障害として後遺障害認定を受けるには、事故直後から治療を終了するまでの期間において、高次脳機能障害に精通している複数の医療専門家による診断や検査を受けることが重要で、適切な後遺障害認定を受けるためには、高次脳機能障害に精通した弁護士によるサポートが必要となります。
弁護士法人あい湖法律事務所は、交通事故被害者の方のサポートに非常に注力している専門事務所です。適切に後遺障害認定を受けてより高い賠償金を獲得するため、是非とも一度、ご相談ください。

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