男性の外貌醜状と脾臓の摘出

滋賀県在住

自車:自動二輪
相手:普通自動四輪

  • 1629万4254円(受取金額)
  • 顔面挫傷、第7胸椎骨折、鎖骨骨折等
  • 併合10級

相談概要

1 相談内容

 退院後治療中に依頼を受けました。怪我が重かったことから、治療期間や後遺症でお悩みになり、ご相談をお受けしておりました。大きな事故で重傷でしたが、若かったこともあり、かなり早く回復されました。事故から1年と少しで治療が終了し、後遺障害等級を申請致しました。認められたのは、併合10級。内容を見ると、脊柱の変形障害で11級7号、顔面の線条痕で12級14号、右手関節の可動域制限により、12級6号、右手関節等複数個所の疼痛で12級13号、脾臓を失ったことによる13級11号、以上を併合しての10級でした。

解決までの流れ

1 争点

 主たる争点は、依頼者の後遺障害の内容からして、後遺障害慰謝料及び逸失利益の金額がどれくらいになるのか、具体的には、慰謝料の金額、労働能力喪失率の割合、労働能力喪失期間の長さでありました。上記のとおり、たんなる10級ではなく、様々な後遺症を合わせての判断です。
 後遺障害等級による労働能力喪失率及びその期間は、赤い本、緑本、青本等、複数の書籍があり、一定の基準が存在しています。実務上も、この書籍の内容が重視され、裁判所もこれを基に判断しています。しかしながら、なんでもかんでも杓子定規で図ることは出来ません。依頼者は、若かったため、まだ40年以上働くことが出来るのですが、痛みがどのように改善・慣れがあるのか、脾臓という臓器の機能は完全に解明されておらず、今後の生活にどれ程の影響を与えるのかわからなかいという強い不安がおありでした。

2 相手方保険会社の主張

 後遺障害が10級の場合、相当程度重い障害であるため、喪失期間を労働可能な年齢(67歳)までで労働能力喪失率も少なくとも27%とするべきだと考えております。しかし、相手方保険会社は、脾臓はあまり機能していない臓器である、男性の顔面の線条痕は収入に関係ないなどの理由により(制限している裁判例がある)期間制限と喪失率を少なく主張してきたのです。依頼者の場合、若いこともあり、大きな金額の差が出てしまいます。
 その他、入通院慰謝料についても、赤い本基準に到底及ばない低い金額でした。

3 適切な損害賠償内容の提示

 上記反論とともに、適切な損害賠償を求めて、相手方に提示しました。

⑴ 入通院慰謝料、後遺障害慰謝料について
  赤い本を基準に適切な内容を提示しました。

⑵ 後遺障害逸失利益について
  赤い本基準にしたがい、喪失期間を67歳までの全期間、喪失率を30パーセントということで提示しました。

4 示談

 何度かのやり取りで、赤い本基準のとおりで和解しました。
当事務所としては、もっと粘り強く交渉し、受け入れられなければ訴訟を視野に動きたい事案でした。しかしながら、依頼者が、早急にお金が必要という事があり、一定のバランスを取りながら、早期解決を図るために和解となりました。

事例のまとめ

 本件は、賠償額総額としては、赤い本基準の満額であり、妥当な結果であるとはいえます。また、依頼者も大きく満足して頂き、感謝いただけました。
 しかしながら、個々の事情を考えてみると、もっと大きな金額を取れる可能性がありました。もちろん、事故解決がお金だけの問題ではないと思います。しかしながら、それも程度があったのと思います。依頼者のお金の必要な理由が、特に緊急性がなく、他の対処方法が十分あったため、訴訟による解決が適切だと思っていました。
 もっと違う言い方でお伝えできれば、時間がかかってもしっかり争って、適切な賠償額を受け取れたのではないかと思うと、少々残念です。

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