交通事故において物損示談を成立させた案件

相談者:普通自動四輪
相手:普通自動四輪
道路:交差点
態様:優先道路を走行し交差点に進入したところ、一旦停止を無視して交差点に進入してきた車両が右後部座席のドア付近に衝突

  • なし

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交通事故にかかる物損の一般論

交通事故における車両にかかわる損害については、一般的に物損(物的損害)と呼ばれている。
物損の示談交渉については、損害項目と損害額、事故態様を含む過失割合が問題になることが多い。
 
【物損の損害項目】
①修理費
②買替差額
③登録手続関係費
④評価損
⑤代車使用料
⑥休車損
⑦雑費(車両の引き揚げ費、レッカー代、保管料、時価査定料、見積費用、廃車料、車両処分費等)
⑧家屋・店舗、設備に関する損害(修理費、評価損、営業損害等)
⑨積荷その他の損害(積載物、着衣、携行品等)

①修理費については、車両について修理することが相当な場合、適正修理費相当額が認められる。

②買替差額については、物理的又は経済的全損、車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けてその買替をすることが社会通念上相当と認められる場合には、事故時の時価相当額と売却代金の差額が損害として認められる。

③登録手続関係費については、買替のため必要になった登録、車庫証明、廃車の法定の手数料相当分及びディーラー報酬部分(登録手数料、車庫証明手数料、納車手数料、廃車手数料)のうち相当額並びに自動車取得税については損害として認められる。なお、事故車両の自賠責保険料、新しく取得した車両の自動車税、自動車重量税、自賠責保険料は損害とは認められないが、事故車両の自動車重量税の未経過部分(「使用済自動車の再資源化等に関する法律」により適正に解体され、永久抹消登録されて還付された分を除く)は、損害として認められる。

④評価損については、修理しても外観や機能に欠陥を生じ、または事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に認められる。

⑤代車使用料については、相当な修理期間又は買替期間中、レンタカー使用等により代車を利用した場合に認められる。修理期間は1週間ないし2週間が通例であるが、部品の調達や営業車登録等の必要があるときは長期間認められる場合もある。

⑥休車損とは、営業用車両について、車両の買替え、修理などのため使用できなかった場合、操業を継続していれば得られたであろう利益を請求できるとするものである。但し、期間は買替期間もしくは修理期間のうち相当なものに限られる。

これら①から⑥までの中で、理解が困難なものとして、②買替差額に示されている経済的全損が挙げられる。経済的全損とは、修理費が「事故当時の車両価格」及び「買替諸費用」の合計額を上回る場合を意味する。つまり修理費が事故後の車両価格を上回る場合、車両価格を上回る修理費を支払って車両を修理するのは不合理なので、車両に係る損害を事故直前の交換価格に限定しようとするものである。

また、④評価損と⑤代車使用料は被害者の意向と保険会社が損害と認める範囲が大きく食い違うことが多い損害項目である。④評価損については、大切な愛車を傷つけられたことから被害者としては当然請求することを望む損害項目であるが、保険会社は車両の骨格部分や中核部分が損傷していないから評価損として認めないとか、車両の初年度登録から長期間経過していることから評価損を認めないと主張して熾烈な争いになることが多い。あくまでも一般論であるが、外車等の高級車については評価損を認められやすいとの傾向は認められる。⑤代車使用料についてはレンタカー会社や修理会社が請求する代車使用料を被害者が負担するのか保険会社が負担するかという形で争われることから、被害者と保険会社の間で熾烈な争いになることが多い。

⑥休車損については、私個人としてはあまり見かけない損害項目であるが、例えば、タクシー会社が所有するタクシーが損傷しそのタクシーを使って営業できなくなった場合、そのタクシーを使用していれば獲得できたであろう利益が休車損として認められる。このときしばしば問題となるのが、遊休車の存在である。つまり上記の例でいうと、たとえタクシーが損傷して使えなくてもそのタクシー会社が遊休車を所有しておれば、その遊休車を使用して営業すればよいのであり、何ら損害が生じていないということになる。このような取り扱いは判例上も認められており、名古屋地裁平成28年2月17日判決(交通民事判例集49巻1号204頁)は、「事業者が他に代替可能な営業用車両(遊休車)を保有しており、それを運用することで利益を上げているのであれば、休車損害は生じない」ものとしている。

過失割合については、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」に照らして定められるのが通常である。
別冊判例タイムズは事故態様を、A歩行者と四輪車・単車との事故、B歩行者と自転車との事故、C四輪車同士の事故、D単車と四輪車との事故、E自転車と四輪車・単車との事故、F高速道路上の事故、G駐車上内の事故に区分して類型化し、過失割合を定めている。
例えば、交差点での四輪車同士の事故で、一方が赤信号、他方が青信号の場合は、別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」の208頁【98】に該当し、基本過失割合が0:100となる。

解決事例

依頼者は、弊所の所在地へご来所頂くことが困難な遠方にお住まいであるにも関わらず、弊所に交通事故の示談交渉を依頼するため、お電話頂いた。事故の態様は、依頼者が優先道路を走行し交差点に進入したところ、同じく一旦停止を無視して交差点に進入してきた車両が右後部座席のドア付近に衝突したというものである。依頼者の車両の右後部のドア付近は衝撃により凹み、その修理費用として約13万円が必要となった。

別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」によると、基本過失割合は依頼者:加害者=20:80となるところであるが、加害者に著しい前方不注視があり、過失割合として依頼者:加害者=10:90が相当であると加害者側保険会社に主張した。加害者側保険会社との交渉の結果、相手方もこれを受け入れ過失割合を10:90とする示談が成立した。

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